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314. 福岡小1殺害事件 ~ いつもより少し丁寧に「おはよう」

産科外来に小走りで向かう途中
待合室のテレビに
福岡小1殺害事件のニュースが
大写しにされていた

「子どもも殺し自分も死のうと思った」

待合室の空気が圧縮されて
どんよりとのしかかってきたみたいで
皆、微動だにできずに固まっている

誰も一言も発せない

みんなどんな気持ちで
この場にいるんだろう・・・

子どもの将来を悲観した
計画的ではなかった
衝動的にやった
見つからないように
わが子をトイレの裏にかくした
そして被害者を装った・・・

身勝手だけど・・・
身勝手すぎるけど

自分の子どもに手をかけてしまった
そこまで追いつめられてしまった
母親のことを
まったく何も知らない
その母親のことを

そして、見えてこない父親
その周囲のことに
思いをはせている
僕がそこにいた

あとからふり返れば
なんであんなことを・・・
って思いにとりつかれることは
誰にでもあるはずだけど

仮想と現実
妄想と実際の
境界線がなんとも曖昧に
なってきている
この時代

夫婦、家族、友人、恋人
地域、職場、社会、国
が担ってきた
その境界を支えてきた
抑止力や受け皿みたいなものが
お互いの関係性ともども
一気に消えようとしているのかもしれない

周囲との関係なんて
あったらあったで
わずらわしいけど
そんなわずらわしさにも
意味がある

専門家が事件の
分析や議論をして
適切な対策を講じたって
人と人がつながってないんだから
必要になる人のもとへ
それが届くとは思えない

でも、その時に
公園で、だれかが
「おはようございます」
って、たった一言
声をかけてくれていれば・・・

そんな一言が
いのちもつなげてくれることがある

たった一言で
人は救われることがある

外来がはじまった

そんな重さを振り切るように

僕はいつもより
少しだけ丁寧な
「おはよう」を
繰り返していた

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313. 涼しい秋のせいだけじゃないんだろうな

少し慌ただしかった週の終わり

自転車で家路を急ぐ荒川土手で
目に入った更待月(ふけまちづき)

満月・大潮から5日が経ち
さらにあと3日くらい欠けると
下弦の半月をむかえる

何てことはない月なんだけどな・・・

Cimg3328

僕は
光のあたらない
欠けている月の部分を
しきりに見ようとしていた

きっと
涼しい秋のせいだけ
じゃないんだろうな

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312. 風のせいだけじゃないんだろうな

台風が来るって
子どもたちの学校は
休校になったけどtyphoon

きまぐれなのか
ムコウにいっちゃった

おかげで
今日も快適
自転車通勤!
(片道50分です)

Photo_6

どうしてだろう
空がすごく青く見えてきて

ココロのなかに
すっと入ってきてくれた

風が漂うよどみを
吹き飛ばして
くれたからなのかな

きっと
風だけのせい
じゃないんだろうな

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311. 聞く術(じゅつ)

今日の夜、「聞く術」という講演を聞きに行って来ました

講師は中央カウンセリング研究所所長の
吉田哲先生

齢を重ねられたためか
声につやはなく、破気もあまり感じられないし、
マイクを通してゴホゴホの咳き込みは頻繁
話し方だって決して、うまくはなかったけど
(聞く専門家だからいいか・・)

朴訥なんだけど妙に味のある
言葉の使い方が
聞かせるんだな

one相手の話や訴え「A」は、そのまま「A」と聞く

two頭(自分の知識や経験などで)理解するのではなく
  心(感受性、人間性)で、カラダで聞くear

など、テクニカルポイントもいくつか教えてもらったけど

「聞く術」なんてないんですよ
要は、聞けるか、聞けないかだけ

が一番のナルホドでした

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311. これからも僕なりに続けてゆければと思います

yachikoさんこんにちは

私は結婚してから2度流産を経験しています。
妊娠検査薬では陽性反応があったのに、
赤ちゃんの心拍が確認できないという結果でした。
家族や病院の先生から「子供はいつかまたできるから」
という言葉がどれだけつらかったか分かりません。

そうでしたか・・・

たとえ子供ができたとしても、
死んでしまった2人の子供は戻らないのですから・・・。

そうですよね

主人との些細なケンカも自分が
子供が産めないのが原因だと思っていました。

そうでしたか

また、まわりの人から「子供は作らない主義?」とか
「夫婦仲が悪いんじゃない?」といった心無い冗談
に傷つき、私は精神的にボロボロでした。

・・・・

人間って、どうしてそんなこと言ってしまうんだろうね

先生のブログは励まされることもありましたが、
ときに現実を知り、こわくなることもありました。
でも、今となっては冷静な気持ちで出産に
のぞめて本当に良かったと思っています。

よかったです

同じような悩みを抱えている女性のために、
そしてその女性を支えるパートナーの方のために、
これからも素敵なブログを続けて下さい。

素敵なブログ・・・ (*´ェ`*)New
ありがとう

これからも
僕なりに続けてゆければと思います

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310. Do you Know シュリンプ?

昨日から、北海道石狩市の
エナレディースクリニックに来ています
こちらに来ると、
「先生、東京は暑いですか?」
とよく聞かれるんですが、
あんまりかわらないな・・・

さて、今週は、緊急帝王切開が3件もありました
3名とも、ちょと下腹が大きく
外来でも、どうかな・・と
心配をしていた妊婦さんでしたが
やっぱり、途中で、お産が進まなくなり
3人とも、似たような経過で、
急遽、帝王切開に切り替わりました

しかも、3人とも外国のかた

もともと、私たちの病院は外国の方が
多いのですが、
こんなことは初めてです

こちらも、コミュニケーションなど
とても苦労するのですが

異国で緊急手術になるんですから
あちらは、もっともっと
不安だし、大変なはずですよね  

3人目の方はインドの方でしたが、
手術室でも少しパニック気味になりました
無理もありません

腰椎麻酔のときは、
手術台で横向きになり足を抱えるようにして、
背中を突き出すような姿勢を
とってもらうのですが
針をさそうとすると、動いてしまって
体位がとれずで
なかなか麻酔が入りません

最初は
“Please Dont Move”
とか言っていたのですが
やはり動いてしまい、うまくいかず

回りは
「ロブスターのように背中を丸めてね」
と言いたいのか
“lobster?” “lobster?”
と連呼したと思ったら

“Can you ロブスター?” 
なんて声も聞こえてきて

おいおいロブスターなんて動詞あった?
なんて思いながら、

それでも、麻酔は入らず

今度は

Do you Know シュリンプ?
(エビを知っていますか)
なんて声も聞こえてくる

気持ちはわからないでもないけど
インドの方にエビから
背中を丸める姿勢を
連想させるって、ちょっと無茶じゃない~

シュリンプといえば、やっぱりサラダだろ?
インドだからシーフードカレー・・
なんて雑念もわいてくる

でも、何とかしよう
何とかしたいという
思いが通じたのかNew_3

時間はかかったけど麻酔も入り
無事に手術も終わりました 

そして、お母さんも、家族も
とても喜んでくれました

よかった catface

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309. VBAC(帝王切開後の経腟分娩)

earth さんはじめまして

現在第二子を妊娠八ヶ月目の妊婦です。

一人目の子は三年前に逆子だったので
臨月に帝王切開で出産しましたが、
多発奇形で数時間後に死亡してしまいました。

そうでしたか・・・

私は一人目が帝王切開だったため、
当然この子も帝王切開で出産するつもりでしたが、
担当の先生からはVBACを勧められています。

そうですか
(※VBACとはVaginal Birth After Cesarean の頭文字
  をとったものでヴイバックといって、帝王切開の
  次のお産で経腟分娩をすることをいいます)

もし一人目の子が無事に生まれていたら
VBACで産む決意をしていたかもしれませんが、
どうしても子宮破裂などの最悪のことを
想像してしまいます。

そうですよね・・・

先生はVBACについてどのようなお考えをお持ちでしょうか?

 メールをいただいて1ヶ月もたってしまいったので
今、お答えしても役にたたないと思いますが・・・

earth さんの場合は、VBACの適応があるので

他の条件が許すのであれば、経腟分娩をできる
可能性は高いと思います

ただ、医学の言葉で、何パーセントは大丈夫とか
安全性を数字で示されても、
数字が与えるイメージはそれを、受け取るものが
これまでどのような時間を過ごしてきたのか
でまったく違ってきますよね

ですから、earth さんが、そう思うのは
自然なことなのでしょう

今は、VBACの適応があっても、
それを実施してくれる病院は
すごく少なくなっています。
そんな中で、こんなにアツく語ってくれる
earth さんの担当の先生は
きっといい先生なんでしょう

先生は、きっと子宮破裂など
恐いケースにあたっていないし
その多くが成功しているのでしょうね

VBACについて、earth さんとは、
まったく違った印象をもっているようですね

これも、いいわるいではなく
とても自然なことなんです

メールを読ませていただくだけで、
アドバイスをするのは難しいのですが
8月12日のメールを読ませてもらったかぎりでは
earth さんは帝王切開の方がいいのかな・・・
と、私は思いました

正直にearth さんの、思っていること、感じていることを、
先生にお話しできているといいですね

もし、この1ヶ月で、earth さんの気持ちがゆれ             New_2
徐々に変わってきていて、VBACを望んでみよう
というのであれば、それは、それで、いいのです

どういう手段で産むのかというより
どういう関係性のもと、どういうプロセスで
そこに至るのかのほうが
ずっと大切なように、今の私は感じています

先日、ある病院にかかっている産婦さんが
私たちの病院に来られて
「竹内先生はVBACをしてくれるとうかがいました。
普通分娩でしてもらえますか?」
と、言われました

「・・・・・」

彼女は、VBACの適応はありました。
医学的にはVBACは可能でしょう

でも、「わかりました」という
言葉がすぐにでてこなかったのは

まだ彼女と、関係性を築いてゆけそうな
感じが、私の中にはできなかったからです think

そういう感覚って
お互いにすごく大切だと思っています

技術だけを提供するって
難しいことなのです

earth さん、UPさせてもらったのに
やきもきさせてしまいました o(_ _)o

お大事にね

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308. 「(産科医療)無過失補償制度」って知っていますか?

脳性まひとなった子どもに対して、総額で3000万円の補償が支払われる
「無過失補償制度」が2009年1月からスタートします。
皆さんはこの制度のことを知っていますか?

もともとは北欧やニュージーランドの社会福祉制度で、
制度自体は悪くないのですが
日本で今行おうとしているのは家族救済というよりは、
医療(者)側保護のための制度です

一般の方々には、その内容がほとんど知られてないですよね
新聞等でも、「分娩事故で脳性まひの赤ちゃんが生まれた場合~」
のような説明がされていますが、全くわかっていない・・・・(-ε-)

脳性まひは、その多くが妊娠中のエピソードが原因で、
分娩時の出来事や事故で脳性まひになることは少ないんです
医療側(者)には責任はないんですよというのが
無過失」がついている理由です。

家族とともに、ある意味医療者も、被害者なんだから、
あんまり医療者を責めたりしないように!
そんなことをすると、ますます、産科医のなり手もなくなってしまうんだから・・・
そのかわりに補償金をお支払いしますからね
ただ、「無過失」補償ですから、
お金をもらったら、訴訟なんかをおこしたらだめですよ。
お願いしますね ┐(´-`)┌

言葉は悪いけど、3000万で手を打ちましょうということなんです

でも、補償金をもらったら、訴訟を起してはいけないなんて
取り決めなどはもちろんありません

日本でのこの制度は不備が多いと感じていますが、
最たるひとつはお金の流れ、とにかく複雑です。
お産1回あたり、掛け金は3万円にもなりますが、
これは、この制度に加入している病院が、
日本医療機能評価機構という組織を通して
民間の保険会社に支払うことになります

じゃあ産む側は払わなくていいのかというと
そんなことすると、病院の経営があやうくなるので
病院は分娩費に3万上乗せして、本人に請求することになるでしょう
そのかわりに、1月から出産一時金が
35万から38万に3万円増えるというしくみなのです

でも、なぜ、そんな、ややっこしいルートを?
なぜ、民間の保険会社が入るの・・・
誰が得するの・・・・いろいろと勘ぐりたくなってしまいます

この制度に加入している病院」ということは、
加入していない病院もあるということです
ある程度の圧力はかかりますが、病院に加入の義務はないのです

私が勤務している病院は、よく考えたうえで、
今回は加入を見送ることに決めました
そのいちばんの理由は?
妊婦さんとその家族に、追加の3万をいただく説明(説得?)が
現状ではとても難しいと思うし、手間もかかりすぎると考えたから

どう説明するかにもよるのでしょうが、
現場の私たちがそれをすることで、
両者の関係性がよくなるとはとても思えなかったからです
医療者による医療者のための制度とはっきり言ってしまえば
もっと、わかりやすかったんでしょうが、
そんなこととても言えないでしょうから、
その歪が、現場が混乱させる・・・
しっくりこないし、腑に落ちないということです

現時点では、私たちの病院のように加入をしていない病院は
全国平均で3割もあるんだそうです

まだ社会にもよく知れてもないのに、
説明責任という最も大切だけど、一番大変なところを、
現場に丸投げした形で見切り発車してしまう感覚ってなんなんだろう

高齢者医療制度もそうだけど、うまく機能はしないだろうな・・・

もし私たちの病院で、お産をされると、この3万円は請求されませんが、
仮に生まれた赤ちゃんが脳性まひでも3000万円は支払われません
New_2

皆さんはどう思いますか?

繰り返しますが、制度は悪くはないのです
でも、そのしくみが中途半端なんです
しかも、導入にあたって、機が熟していない

産科医療関係者でさえ制度のことよくわかっていません
それなのに強引に始めようとしている
すごく政治の臭いを感じてしまいます

命の問題に、政治がからむと、胡散臭くなるよな・・・

もう少し、詳しく知りたいという方は、
長崎の産婦人科の日記をどうぞ

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307. 新こちら椿産婦人科

YOU(集英社)で連載されている
「新こちら椿産婦人科」(あまねかずみ作)

で3回にわたって誕生死がテーマでとりあげられています

『生命の記憶 STILL BIRTH』
どんなに医療が発達しても、助けられない命があるー

熱血医師・万作が「誕生死ケア」に
取り組むシリーズ3連作!
【18号(9月1日発売)~20号】

担当の編集者さんを妊娠中にケアさせていただいていた関係もあり
こうして取り上げてもらうことになりました

きちんと取材もしてくれ、すごくよく描いてくれました

関心のある方に向けて、書籍や講演などで、伝えてゆくことは大切ですが
ふだん、そんな意識のない人たちへも
こういった形で、何となくでも伝わるとしたら、大きいなあ・・・

私の中1の息子と、小5の娘も、抵抗なく読んでくれました
そして、何かを感じてくれたようです

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