36歳の妊婦さんが脳内出血でお亡くなりになった
その報道が昨日から続いています
私のいる地域で起こったということもあり
どうなるものかと経過を見させていただいていますが
報道の仕方が気になり
本日、知り合いの関係者にメールをしました
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〇〇さん
こんにちは
ごぶさたしています
産科医の竹内正人です
番組、いつも拝見させていただいています
昨日来、報道されている
妊婦死亡のニュースについて思うところがあったので
メールさせてもらいました
今回は、産科医療の現状もふまえて、
事実に忠実に報道しようとしている
番組も増えているようですが
多くのニュースの切り口は
いまだにそうではないように感じます
医療の中側は、外から見えるほどの気力や体力を
もはや持ち合わせていないように思います
外圧によって、批判して変える、変わるのは難しい
意見を言う側に、ともに医療を支えようとする、配慮や理解がなければ
そこで働くものの気持ちまでが根こそぎ壊れてしまう
それほど、差し迫っているように思います
医師を増やせば・・
補充をすれば・・
周囲との連携をきちんとればなどの
机上の策だけでは簡単に解決できる状況ではないのです
亡くなられた元文化庁長官の
河合隼雄先生ではないですが
そういう一見もっともらしい意見をいう
専門家やコメンテーターには
「まじめもやすみやすみいってほしい」
と正直、感じます
家族を残して、妊婦さんの命が失われたことは
人としてとても悲しく、医療者としてはとても残念なことです
ただ、これが、今の医療の現状ですし
妊娠・出産の厳しい一面でもあるのです
人が人である限りにおいて
すべてが喜びの結果になることはありません
ところが、一連の報道の流れを見ていると
家族、そして視聴者は、医療に命を奪われたと感じ
そこからは、怒りや、憎悪しか生まれてこないのではないでしょうか
「たらい回し」ははたしてこの状況を表現する
適切な言葉なのでしょうか
命がなくなるのは
医療のせいですか
そんなふうに
他人のせいにするだけで
大切な一つの命の意味を考え
その悲しみを受け入れてゆく
そんなプロセスをたどってゆく
ことさえ難しくしてしまう
そういう意味からは
家族も報道の被害者になるのでしょう
この問題を改善してゆくうえで伝える皆さんに
ぜひとも知っておいてほしいのは
緊迫した状況で
搬送先を必死で探そうとした
五の橋産婦人科の医師
そして、1人当直であったものの、
その中でできることを必死でしようとした
墨東病院の当直のシニアレジデント
それをバックアップした産科、脳外科の医師たちが
厳しく、絶望的な状況のなかでも
危機に瀕した命から逃げることなく
最後まできちんと向き合い
精一杯頑張りぬいたという事実です
それでも
お母さんの命を救うことはできませんでした
わかりにくいかもしれませんが
予期せぬ結果を前に
私たち医療者は、関わったものとして、
目の前に無力をつきつけられるのです
医療者も、皆さんと同じ一人の人間です
それは、想像以上にきつく、つらい、残酷なことなのです
結果が悪かったからと一刀両断されるだけで
「その状況のなかよくやってくれた」という
ねぎらいの気持ちのかけらさえないのであれば
彼ら、彼女たちは、
訴訟や逮捕の恐怖におびえながら
燃え尽きてしまうことでしょう
そうして、医師不足の悪循環が繰り返され
医療への希望の灯は
消えていってしまうのではないでしょうか
皆さまにはそんな状況を察してもらったうえで
報道を通して、次へとつなげてほしいと切に思います
伝えるのであれば、
そんな奥深い、本質のところまで
掘り下げていただきたいと思います
日々、お疲れ様です
産科医 竹内 正人
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